THE RENOVATED HOTEL MEURICE GROUND FLOOR, AND CHEF JOCELYN HERLAND FOR RESTAURANTS LE MEURICE ALAIN DUCASSE AND LE DALI
緑豊かなチュイルリー公園に臨むLe Meurice(ル・ムーリス)といえば、2匹の犬が向かい合うシンボルマークが印象的。実はこのホテルのマークには、美しいエピソードが秘められているのです。
20世紀初頭にル・ムーリスが大掛かりな工事をしていた際に、偶然迷い込んできた1匹のグレイハウンド。以来、その犬はホテルのマスコット犬として愛され続け、ル・ムーリスのシンボルマークとしてグレイハウンドの姿が標されるようになったのだそう。
その後、1匹だけでは寂しいのでは……という気遣いもあり、また王侯貴族の御用達ホテルということにちなんで、仲睦まじく見つめ合う2匹の犬の上に王冠が掲げられたのでした。
そんなル・ムーリスだからこそ、“Animal Friendly (アニマル・フレンドリー)”をモットーとし、“V.I.P. =Very Important Pet”のフィロソフィーを大切にし続けているのです。
そのル・ムーリスのグランドフロアがリノベーションしたと聞き、プリ・ヴィレジアトゥールのマスコット犬 Noa(のあ)を連れて、早速お伺いしました。
エントランスの回転ドアを通り抜けると、まずはフィリップ・スタルクによる新作のフローズンミラーが出迎えてくれます。
サルバドール・ダリが自身と愛妻のために作った二人掛けの椅子Conversation Chair (カンヴァセーションチェア)の傍に飾られた鏡は一面白い霜で覆われていて、まるで積もった雪に文字を書くかのように、顧客たちが思い思いのメッセージを記したり、子供が手形を押したり、絵を描いたりできるのです。そして、その霜は毎朝真っ白に再生され、新たな1ページが日々、綴られていくというわけ。
ヴェルサイユ宮殿の平和の間にインスパイアされたという麗しいガストロノミックレストランRestaurant Le Meurice Alain Ducasse(レストラン・ル・ムーリス・アラン・デュカス)は、天井に描かれたフレスコ画などのフランスの伝統建築様式を生かしつつ、ムラーノグラスで帆立貝を模したAristide Najean(アリスティード・ナジャン)のオブジェやEero Saarinen(エーロ・サーリネン)のTulip Chair(チューリップチェア)によって、モダンさも上手く取り入れています。
さすがに2つ星のガストロノミックレストランには犬は入れませんが、隣室のレストランLe Dali(ル・ダリ)ではペットも大歓迎とのことで、席に着くと、水の入ったギャメルをにこやかに のあの為に運んできてくれました。
奥の一角に高さ3.2mもの大きな鏡を斜めに配したことで、アラ・スタルクが描いた天井画がそのミラーに映し出され、白昼夢のような幻想的な世界観がいっそう伝わる空間に生まれ変わりました。
美食の象徴色ともいえるコッパーをアクセントとして所々にあしらい、雫型のクリスタルが煌めくランプが照らし出す店内は、以前よりも明るく寛いだ印象に。
さらに、Le Bar 228(ル・バー 228)に隣接した空間には、アラ・スタルクがファブリックデザインを手がけたキャンバス地のソファーや絨毯を取り入れたLa Galerie Pompadour(ラ・ギャルリー・ポンパドゥール)ができて、素敵な雰囲気に包まれ、のあもうっとり……。
そして新たにシェフとして、ロンドンのAlain Ducasse at the Dorchester(アラン・デュカス・アット・ザ・ドーチェスター)に3つ星を齎して注目を集めた、かのJocelyn Herland(ジョスラン・エルラン)が就任したこともビッグニュースです!
エルラン シェフがル・ダリのために考案したレシピには、ダリの生まれ故郷であるカタルーニャの地方料理やイタリアのマンマを想わせる品々、デュカスの原点ともいえるコートダジュールにちなんだ地中海料理、そしてパリの古きよき時代を彷彿させる伝統的なブラッスリーのメニューが並びます。
通常、フレンチレストランでお料理をシェアし合うのはマナーに反すると言われますが、ル・ダリではハーフポーションを用意しているので、色々なお料理を少しずつオーダーして、タパスのようにみんなで分け合うことができるのも嬉しい限り。
どの品々も美味しいけれど、特にお薦めなのはイカ墨のリゾット Riz noir, calamari et coquillages と、ポテト・ブラバス Patatas bravas です。
リゾットは魚介の旨味とイカ墨のコクが口の中に広がって、本場ベネチアに引けを取らない逸品!
スペインのバルでお馴染みのパタタス・ブラバスは、フライにした筒状のポテトの中にバルサミコ酢のような甘酸っぱいブラバスソースを詰めて、エレガントなタパスに仕上げています。
これまでもパリのホテルのバーにお供したり、南仏のホテルに1泊旅行をしたことのある のあですが、パラスホテルを訪れたのは、今回 このル・ムーリスが初めて。
パラス・デビューの記念に、ル・ムーリスの犬のぬいぐるみをプレゼントしていただいて、のあもとっても嬉しそうでした!
Le Meurice
228, rue de Rivoli 75001 Paris France
Tel : +33 1 44 58 10 10
https://www.dorchestercollection.com/fr/paris/le-meurice/