THE ONE-OF-A-KIND SPRING MENU AT PARIS “L’ABEILLE” RESTAURANT
By Masae Hara

かつてナポレオンの又甥が暮らしていた由緒ある場であり、歴史的建造物として指定されているシャングリ・ラ ホテル パリ。
このホテルの壮麗なサロンで、2013年にはプリ・ヴィレジアトゥールの最終審査発表パーティが催され、世界中のホテル関係者や大使、ジャーナリストなど 約300名もの人々が駆けつけました。
これまで開かれてきた最終審査発表会の中でもシャングリ・ラ ホテル パリでのセレモニーは特に盛大で、プリ・ヴィレジアトゥールのオーガナイザーのル・リエーヴル夫妻や我々審査員たちにとっても、素晴らしい思い出となりました。

そのシャングリ・ラ ホテル パリのガストロノミックレストランは、ボナパルト家の紋章のひとつである蜂にちなみ L’Abeille(ラベイユ)と名付けられています。
色とりどりのバラが咲き誇り、ハーブがすくすくと育つレストランの中庭からはエッフェル塔が見渡せ、店内では蜜蜂を連想させる黄色い花がテーブルの上を華やかに引き立てています。
ラベイユのシェフとして昨年の1月にChristophe Moret (クリストフ・モレ)が就任して以来、素材の持ち味を存分に生かしたモダンな料理で人々を魅了しています。

ミシュランの2つ星を誇るラベイユの料理の中でも、アレニエ(蜘蛛蟹)を使った品はクリストフのシグネチャーとして知られていますが、この春はアレニエに旬のリュバーブを添えた前菜 Araignée de mer / rhubarbe / amandes rafraichies, sabayon corraillé が登場。
蜘蛛蟹のエフィロッシェがアスパラガスの薄切りでくるりと巻かれていて、蜘蛛蟹のソフトな舌触りと、歯応えを絶妙に残したアスパラガスの爽快さがうまく調和しています。
甲殻類のソースをつけると、サバイヨン・コライエのコクとリュバーブの酸味が相まって絶妙です。
メインの魚料理Dos de Saint-Pierre, ormeaux et pousses de la baie de Somme en fricassée, pistou d’asperges vertes は、グリーンアスパラガスのピストゥーが、繊細で上品なサンピエールの味をうまく引き立てています。
クリストフが手掛ける鳩料理は絶品で、昨秋に味わった小鳩のローストは、鳩の挽肉をナポレオンチェリーの中に詰めたファルスとピジョンのブレットが腿肉の脇に置かれていて、その美味しさに思わず感動したほど。
そんな記憶を辿っていると、目の前には鳩のローストにグリンピースを添えた Pigeonneau de Racan rôti, la cuisse en sanquette, petits pois à la française, sause salmis の皿が置かれて、思わずにっこり。
小鳩は丁寧にエトフェされ、鳩ならではの個性ともいえる血の風味が巧妙に引き出されています。
採れたてのプチ・ポワや春玉ねぎと共にサルミソースで味わうピジョンのローストは決して重すぎず、前回とはまた違った春らしい一品に仕上がっています。

Photo Credit Winkelmann
そして、シェフ・パティシエのMichaёl Bartocetti (ミカエル・バルトセッティ)が手掛けるデザートへと続きます。
まずは、旬のイチゴを堪能できるCiflorettes de Carpentras, crème crue, granité herbacé から。
南仏のカルパントラという街で育った甘酸っぱいストロベリー・シフロレットを、爽やかなハーブのグラニテと共にいただきます。

Photo Credit Winkelmann
華やかなディナーの最後を締め括るのは“ラベイユ”の名にふさわしく、蜂の巣を象ったゴーフレットを乗せ、コルシカの蜂蜜をかけたアイスクリーム!
Miel de maquis Corse givré, gaufrettes croustillantes au parfum de citron et eucalyptusは、ゴーフレットのレモンとユーカリのほのかな香りと、蜂蜜のとろりとした舌触りを楽しめる逸品。
クリストフとミカエルが生み出す春ならではの味わいを、ぜひラベイユで堪能して!!
ちなみに、プリ・ヴィレジアトゥールのディレクターであるレミー・ル・リエーヴルがシャングリ・ラ ホテル パリを訪れる際に、奥様のソフィーを伴ってたびたび立ち寄るとっておきのアドレスが Noël(ノエル)というフレンチリネンのブティックなのだとか。
1883年創業のノエルでは、ロマンティックな刺繍が施されたベッドリネンやナプキン、テーブルクロスなどを販売しているほか、オリジナルのロゴや柄を刺繍することも可能で、社長のAdeline Dieudonné(アデリーヌ・デュードネ)さんが、オーダーメイドの相談にきめ細やかに対応してくれます。
ボナパルト家が繁栄していた時代から、今もなお現存し続けている老舗リネンショップを訪れてみるのもお薦めです。
Shangri-La Hotel Paris
10, avenue d’Iena
75116 Paris France
Tel: +33(0)1 53 67 19 98
NOËL
1, Avenue Pierre 1er de Serbie
Place d’Iena 75116 Paris France
Tel :+33(0)1 40 70 14 63
